アクシデントでエース途中交代も底力を見せつける
2022年12月24日、甲州市塩山体育館で令和4年度全国高等学校ハンドボール選抜大会山梨県予選の男女決勝など計4試合が行われた。男子はベスト4に勝ち上がった山梨高校が、選手の体調不良などが原因で出場辞退となり、駿台甲府高校が不戦勝で決勝進出を果たした。
もうひとつの準決勝は、日川高校と甲府工業高校が激突。試合前半は、日川が巧みなパス回しとスピードを生かした速攻でペースを握り得点を重ねていく。流れを引き寄せたい甲府工業高校だったが、パスミスなども目立ち得点差を広げられてしまう。後半も日川の勢いは止まらず相手とのリードを広げていき、39対15で勝利し、決勝進出を果たした。
決勝前には、日大明誠高校と塩山高校・青洲高校の連合チームが5位決定戦を実施。前半から接戦の展開となり、最後は日大明誠高校がリードを守り抜いて37対29で勝利を収めた。
決勝は、11年連続26回目の全国選抜への出場を狙う駿台甲府高校が日川高校を迎え撃った。試合は、エースの古澤宙大をはじめ、1年生主体のスタメンで攻撃力、守備力ともに高い能力を誇る駿台甲府高校がペースを握る。細かいパス回しから最初の得点を奪うと、その後は速攻、サイドを生かした速い攻撃など、豊富なバリエーションでリードを広げていく。相手の勢いを食い止めたい日川高校だったが、攻撃の起点をなかなかつくれず、流れを引き寄せられない時間が続いた。
駿台甲府高校は、一気に点差を広げにかかる勢いだったが、前半20分がすぎた頃にエース・古澤が出血するアクシデントに見舞われ、ベンチに下がらざるを得ない状況となった。現チームに軸と言える選手がコートを去ったことで、流れが変わるかに思われたが、キャプテン・船木駿、鈴木琉水(ともに2年)が奮起。チームの流れを相手に渡さぬように、アグレッシブな攻撃を続けてリードを守っていった。
後半は、日川高校の追い上げもあったが、ミスの少ないプレーで最後までリードを守り抜いた駿台甲府高校が42対19で優勝を果たした。
圧倒的な攻撃力を見せつけて日川高校が圧倒
この日の女子は決勝のみを実施。対戦カードは10月の新人戦と同じく日川高校と駿台甲府高校が激突した。
試合立ち上がりは、互いの堅守が光り、8分すぎまで、2対1と日川高校がわずかにリードを奪うという接戦に。しかし、平均身長で相手を上回る日川高校は、流れを引き寄せると高い攻撃力を誇る佐藤妃花中心に得点を積み重ねていった。踏ん張りたい駿台甲府高校だったが、徐々にミスも目立つようになり防戦一方の状況となり、前半は日川高校が17対4と大きくリードをもって終えた。
後半も勢いに乗った日川高校の攻撃力が上回り、相手の反撃を1点に抑えるワンサイドゲームとなり、36対5で優勝を果たした。
試合後、チームの得点源として活躍をみせた佐藤は「課題も多く見つかったので、関東選抜、そして全国選抜へ続くように努力を続けたい」とコメント。ケガの影響で試合に出られなかったキャプテンの三森美菜子は、「一人ひとりがやるべき果たして、チーム力を上げていきたい。早くケガを治して、関東選抜、全国選抜では今まで迷惑をかけた分を取り戻したい」と早期復帰と、関東、全国での活躍を誓った。
一方、悲願の全国制覇へ圧倒的な強さを見せつけた男子・駿台甲府高校の八田政史監督は「まさかのアクシデントで古澤がベンチに下がることはありましたが、試合では何が起こるかわからない。全国選抜優勝に向けては、さらに選手層を熱くしていきたい」とコメント。キャプテンの船木は「久しぶりの大会で力が発揮できるか不安はありましたが、全員が力を発揮できてよかった。全国優勝に向けても、僕たち2年生がもっと1年生を支えられるようになって頑張りたい」と語った。途中出場でチームにさらに勢いを与えた鈴木は「持ち前のスピードを生かすプレーができた。今は1年生主体のチームですが、2年生もレベルを上げていきたい」と意気込みを語ってくれた。
この大会で優勝、準優勝を果たした駿台甲府高校、日川高校は2月3日から開催される関東選抜大会へ出場。優勝チームは1勝、準優勝チームは3勝すれば、全国選抜大会への出場が決まる。
取材・文/松野友克