高校女子サッカー 守りでも攻めの姿勢を貫いた帝京第三高校が、王者・日本航空高校を破り第1代表の切符をつかむ!

コロナ禍を乗り越えた4高校が全国を目指して大会に挑む

 9月12日、19日の2日間、中央市農村公園グラウンドと押原公園天然グラウンドで開催された第29回関東高等学校女子サッカー選手権大会山梨県予選兼第16回関東高校女子サッカー秋季大会山梨県予選。山梨県で女子サッカー部がある4校が出場して熱戦を繰り広げた。

 今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で県総体、インターハイ予選など主要大会がすべて中止。また、チームごとでも全体練習ができない状況にも追いやられた。勉強はもちろんスポーツに励む高校生にとってつらい日々が続いていたが、毎年1月に開催されている全国高校女子サッカー選手権大会の開催が決定。これに伴い、山梨県予選も無事に開催される運びとなった。

 今大会には、山梨ダイハツ販売が協賛。大会初日には中島健二社長が激励に訪れ、出場した選手たちにエールを送った。これに対しては、前回大会王者・日本航空高校の久保川莉南主将が、大会開催へ尽力してくれたすべての関係者に向けて感謝の言葉を述べた。

贈呈品を手渡す山梨ダイハツ販売・中島社長(右)と、それを受け取る日本航空の久保川主将(左)

初日は前評判通りに2強が強さを見せつける

 関東高校女子サッカー選手権へ出場できるのは2校。初日の試合で勝利すれば切符を得られることになる。そこで強さを見せつけたのは、5年連続12度目の全国大会出場がかかる日本航空高校と、打倒・日本航空に燃え、2度目の全国大会出場を狙う帝京第三高校だった。

 日本航空は、初戦で多くの主力を温存する形となったが富士北稜高校を実力差で圧倒。右サイドを中心に攻撃を組み立てていき、相手ゴールに襲いかかる。富士北稜も序盤はキーパー奥脇莉南を中心に堅い守りを見せるが、前半10分に失点すると相手にペースを握られ前半だけで8点を奪われてしまう。後半に入っても日本航空は猛攻を続けて、終わってみれば16対0で圧勝。FW松原萌乃はチームトップの7得点を挙げる活躍を見せた。

 一方の帝京第三は、試合序盤は甲府商の堅い守りに阻まれなかなか攻撃のリズムをつかめない状況が続いた。しかし、前半18分にDF谷古宇羽花がDF深山心優のクロスをヘディングで合わせて先制。ここからペースを握り、大量得点とはならなかったが、3対0で勝利し、関東大会出場への切符を掴んだ。

日本航空の松原(FW・28)は、この試合で7得点を挙げた




帝京第三のキャプテン関谷(MF・10)は、初戦でもダメ押しの1点を奪うなどチームを牽引

帝京第三の執念が絶対王者・日本航空のペースを乱す

 19日に行われた3位決定戦と決勝戦。3位決定戦では序盤からペースを握った甲府商が富士北稜を6対0で下して勝利。富士北稜も前半を1失点に抑え、後半に今大会初得点かと思われる惜しい場面もあったが、2試合連続の無得点で今大会を終えることになった。

 迎えた決勝。ここ数年日本航空の厚い壁を破れず後塵を拝してきた帝京第三。試合前には、「気持ちで負けずに、前でプレーをする」ことを忘れずに戦うことを誓っていたという。その姿勢は、前半の立ち上がりから見られることになった。前半20分頃までは、日本航空の両サイドから巧みに仕掛ける攻撃をくらうも、帝京第三のディフェンス陣は体を張った堅守でシュートの形に持ち込ませなかった。そして耐え忍ぶ時間を超えると、徐々に攻撃の時間も増えていった。そして迎えた前半終了間際。MF加藤緋与里が相手ゴール前の攻防で見事なヘディングシュートを決めて先制点を奪ってみせた。

 後半も帝京第三の気迫あふれる攻めの姿勢は、攻守にわたって発揮される。なんとか追いつきたい日本航空だったが、攻める場面はあっても、最後のフィニッシュへつながらない歯がゆい展開が続いた。試合は前半の得点を守り抜いた帝京第三が勝利し、山梨第1代表で関東大会へと駒を進めることを決めた。

 なかなか倒せなかった相手に勝利した帝京第三の大滝彩美監督は「よく走って、よく戦ってくれました。コロナ禍で全体練習ができなかったときでも、個人個人が高い意識を持ってしっかりとトレーニングを積んでくれた結果が出たと思うので、本当に選手たちがよくやってくれた」とコメント。チームのキャプテン・関谷沙良は「公式ユニフォームを着て日本航空に勝ったことがなく、みんなで歴史を変えようと話していたので、それが達成できてよかったです」と笑顔を見せてくれた。

 終始ペースを作れず敗れてしまった日本航空の堀祥太朗監督は、「相手がこの勝負にかける思いに違いがあった。それがこの結果につながったと思います」と話し、「もう一度全員を競争させて、今日の敗戦が次につながるようにやってきたい」と関東大会への意気込みを語った。

 帝京第三、日本航空が出場する全国高校女子サッカー選手権関東予選を兼ねた関東高等学校女子サッカー選手権大会は、11月に栃木県で開催。この大会で上位7校に入れば来年1月の全国大会への出場権を得られる。悲願達成で勢いに乗る帝京第三、そして山梨の絶対王者として巻き返しを誓う日本航空がどんな戦いを見せてくれるかに注目が集まる。

厳しいあたりで日本航空にペースを握らせなかった帝京第三の選手たち


攻める場面は多かったがあと一歩届かかなった日本航空


▼クレジット
撮影・文/松野友克

フォトギャラリー

3位決定戦に挑んだ富士北稜高校のスターティングメンバー




3位決定戦に挑んだ甲府商業高校のスターティングメンバー




決勝戦に挑んだ日本航空高校のスターティングメンバー




決勝戦に挑んだ帝京第三高校のスターティングメンバー




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