後藤輝也(NECグリーンロケッツ) 結果を出すことが自分の糧になる。だから努力を惜しまない

ベスト4以上に入り、新リーグへはずみをつける

 昨年から続く新型コロナウイルス感染症拡大は、スポーツ界にも大きな影響を及ぼしている。それは日本ラグビー界も同じで、1月16日に予定されていた「ジャパンラグビー・トップリーグ2021」の開幕が延期を余儀なくされた。新しい開幕日は2月20日(土)に決まったが、選手たちは調整の難しさを口にする。NECグリーンロケッツに所属する後藤輝也(忍野村出身)も「うちだけでなく、どのチームも準備期間が少ないので、全体のレベルがどこまで上がっているかなど、確かめるのが本当に難しくなっていると思います。僕自身も、開幕で100%のパフォーマンスが出せるかと不安な部分はあります」と教えてくれた。

 ラグビーの国内リーグである「トップリーグ」は、来年から3部制となる新リーグとして生まれ変わる。そのため、今季の順位がリーグの振り分けに影響する。「12チームで編成される1部でプレーするためにも、今年は絶対に結果を出さなければいけない。だからこそチーム目標であり、ベスト4以上を達成しなければいけないんです」と後藤は力を込める。

 開幕戦の相手は2020年シーズン覇者の神戸製鋼コベルコスティーラーズ。「初戦から強豪相手の戦いになりますが、チーム目標を達成するためにも、勝利でスタートしたい」と語る。

スピードとキレのある動きが要求されるWTB(ウイングスリークォーターバック)として活躍する後藤

7人制日本代表入りで経験値がアップ

 後藤がラグビーを始めたのは高校生のとき。小学生のときはサッカーと水泳、中学時代は卓球部に所属していたが「中学3年の部活は6月頃で終わってしまう。スポーツ好きの僕としては受験もありましたが、何かやりたいという思いが強かった」と、夏以降でもプレーできるスポーツはないか探したという。「そんなときにラグビーのシーズンは秋以降だと知り、中学に経験者の先生がいたので、友達と一緒に教えてもらったのが最初でした」。当時から足の速さには自信があったこともあり、「ラグビーなら、自分の持ち味であるスピードが絶対に生きると確信して、高校から本格的に始めることにしました」という。

 全国出場経験のある桂高校でラグビーの基礎を叩き込んだ後藤は、山梨学院大学へ進学。大学4年時には、部のキャプテンとしてチームをけん引し、1部昇格へ大きく貢献した。その後社会人チームのNECグリーンロケッツに加入し、中心選手として活躍を続けている。

 また、7人制ラグビーの日本代表にも選ばれ、2016年のリオ・デ・ジャネイロオリンピックにも出場。4位入賞の原動力となり存在感を示した。「ルールは15人制と変わりませんが、プレーしていて7人制のほうが大変ですね。15人制では生かされたスピードが全く通用しない場面もありましたから。それでも新しい発見などもあり、プレーしていても楽しかったです」

持ち前のスピードとテクニックは、7人制ラグビーでも生かされた

道標を示してくれた人々へプレーで恩返しを

 10代でラグビーの魅力にとりつかれた後藤だが、何度か違う道へ進むことも考えた時期があったという。「高校卒業と同時に一区切りつけようと思っていましたが、当時のコーチ意見や大学の監督からの誘いもあり続けることを決めました。社会人に入るときも、別の方向性を考えていたのですが、このときも周囲の意見で続けることになった。だから、今現役でいられるのは、これまで出会った人たちのおかげ。その人たちに恩返しではないですけど、少しでも長いあいだ活躍する姿を見せたいと思っています」

 自身のパフォーマンスを維持できる間は、現役にこだわりたいという後藤。そんな彼が地元・山梨でラグビーに励む子どもたちにエールをくれた。
 「結果を出すことが自分の身になると思っています。だからこそ、しっかりとした目標を定めて、そこに向かって努力してほしい。そうすれば、自ずと結果は出るはず」

 自身としても、チームとしても結果を追い求める2021年シーズン。コロナ禍もあり例年とは異なる戦いが強いられるが、そんな苦難をはねのけて、チームの目標を達成してもらいたい。

▼クレジット
取材/松野友克
写真提供/NECグリーンロケッツ

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