第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会(通称:ウインターカップ2022)山梨県大会決勝レポート 日本航空高校が2年ぶりに男女揃って本戦出場を決める!

女子は攻撃力で力の差で相手を圧倒!

 10月30日、富士吉田市の富士北麓公園体育館で行われた第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会(通称:ウインターカップ2022)の山梨県大会決勝が行われた。 男子33チーム、女子27チームが参加し、12月23日(金)に開催する本戦出場を目指した大会。決勝へと駒を進めたのは、男子が日川高校と日本航空高校、女子が日本航空高校と富士学園高校(以下、敬称略)。男女ともに今年の県総体、インターハイ予選と同じ組み合わせとなった。

 先に行われたのは女子決勝。日本航空のスターティングメンバーは、ルース・ギフト・エゼキエル(C/3年)、藤井花、(SF/2年)、大柴沙和(PG/1年)、後藤梨音(SG/2年)、中村萠愛(SG/2年)。一方の富士学園は、岩井琉姫(F/3年)、三浦望愛(C/3年)、高村美空(F/2年)、髙村美空(F/3年)、白須愛叶(PG/1年)が名を連ねた。

 第1クォーター、ティップオフを制した日本航空は、流れるようなプレーで先制得点を奪う。これで主導権をつかんだ日本航空は、強固なディフェンス力で富士学園の攻撃を封じ、オフェンスでは、大柴がスピードを生かしたプレーでゲームを支配。ゴール下ではルースが自慢の高さを見せつけ、サイドからは後藤、中村が3ポイントを決めるなどバリエーション豊かな攻撃を見せ、第1ピリオドを25対10と大きなリードを奪った。

 第2クォーターも日本航空が巧みなメンバーチェンジを行いながらボールを支配。なかでも際立っていたのが大柴のプレー。素早い速攻はもちろん、見事なパスワークを披露して相手ディフェンスを翻弄していく。またルースの代わりにコートに入った192cmの留学生ソエタン・オニイカンソラ・シャデ(C/1年)も高さを生かしたプレーで存在感を示した。

 前半終了時点で29対49と20点差をつけられた富士学園は、第3クォーターにリバウンドのルーズボールを奪って得点をする場面も見られたがパスミスなどもあり流れを引き寄せされず。一方の日本航空は攻撃を緩めることなく得点を積み重ねて82対45と点差を広げて第3クォーターを終えた。最終第クォーターも日本航空が優位に試合を進めて、99対61でウインターカップ県予選3連覇を成し遂げた。

絶対的エースとして存在感を示したルース

大柴は1年生とは思えぬスピードとスタミナを披露して勝利に貢献した

キャプテンとしてチームを支えた富士学園の髙村

リバウンドの強化を図り、日本一を目指す

 ウインターカップ県予選3連覇を成し遂げた日本航空の蒲生壮扶コーチは、「(立ち上がりから)選手が気持ちを全面に出してくれた。まだまだ目指すべきところには到達していませんが、チーム内での主張と尊重ができているのはいい点だと思います。全国へ向けては、ディフェンスのピックアップとローテーションからのリバウンド、ルーズボールを相手に取られてしまうケースも多かった。そこは大きな課題としてやってきましたが、まだまだ徹底しきれていないので改善したい」とコメント。

 チームの柱として活躍したルースは「立ち上がりは大事なので、みんなで同じ方向を向けたのがよかった。私たちの目標は全国でどう戦うかなので、本番まで練習を続けたい」と、次なる戦いへの意欲を見せた。また、司令塔として大活躍だった大柴は「ところどこでフリーのブレイクを外してしまうなど反省点はあります。全体としてみればリバウンドも取れて、シュートも決められたのでよかったです」とコメント。キャプテンの和知萌々華(SF/3年)は「全員で声を掛け合って、楽しみながら勝ちきろうという気持ちを切らさず戦えたことが良かったと思います。全国では日頃からお世話になっている先生方、一緒に頑張っているチームメイトに恩返しできるプレーを見せたい」と語ってくれた。

高い個の能力を集結させチーム全体として大きな成長を遂げた日本航空の選手たち

富士学園は自分たちのペースをつかめず敗退も、全力プレーで相手を苦しめた

男子は終盤の猛攻をしのぎ切り3年ぶり25回目の本戦出場へ

 県総体では1点差、インターハイ予選では5点差と僅差の戦いを繰り広げてきた日川と日本航空。いずれも日川が制しており、日本航空にとっては3度目の正直を狙う戦いとなった。

 日川のスターティングメンバーは奥脇璃人(C/2年)、前島幸大(G/3年)、高原未来也(F/3年)、萩原諒(F/2年)、竹島賢太(G/2年)。対する日本航空は、岩下貫太(G/3年)、溝口琢真(F/3年)、ウィリアムズ・オルワペルミ・ジェラマイヤ(C/1年)、松本陽希(G/3年)、渡辺辿(F/3年)となった。

 第1クォーター前半は互いに得点を奪うも、堅いディフェンスで相手の攻撃を防ぐ場面も多く緊迫した試合展開が続いた。そして6分過ぎにゴールしたから得点を奪いリードした日本航空は残り約3分40秒のところで途中からコートに入った大道一歩(G/1年)が3ポイントシュートを決めて5点差とする。これで流れをつかんだ日本航空は、ウィリアムズが豪快ダンクシュートを決めるなど得点を積み重ね17対8とリードを奪う。

 相手の流れを食い止めたい日川だったが、第2クォーターも攻撃の軸となる高原、前島の2人の調子が上がらず、高さを生かした相手ディフェンスにも苦しみ点差を縮められず。一方の日本航空は、ウィリアムズが3つ目のファウルでベンチに下がるなど想定外のトラブルもあったが、着実に得点を奪い29対18とリードを広げて前半を終えた。

 迎えた第3クォーター開始早々、日本航空がゴールしたの攻防でウィリアムズが4つ目のファウルをとられて、ベンチに下がらざるを得ない状況となった。その直後、日川はキャプテンの高原が3ポイントシュートを決めて点差を一ケタに。さらに竹島が相手のファウルで得たフリースローを2本決めて6点差に詰め寄る。これで流れが変わるかに思われたが、日本航空も堅い守りと、高さとスピードを生かした攻撃を見せつけて46対32と14点差をつけて最終第4ピリオドを迎えた。

 リードを広げられた日川だったが、第4ピリオドに粘りを見せる。残り6分頃からディフェンスからのブレイクという得意の形で得点を積み重ねる。流れを引き戻したい日本航空は残り2分44秒で4ファウルのウィリアムズをコートに送り逃げ切りを図る。しかし日川は流れを渡さず、残り2分19秒の時点で4点差に詰め寄った。大逆転の予感も漂い始めるが、日本航空が流れを食い止め、最終的には61対52で勝利を収めた。

ウィリアムズの高さが相手にプレッシャーとなりチームに流れを引き寄せた

精度の高いシュートとブレイクでチームの勝利に貢献した大道

高原が攻撃の柱としてチームをけん引するもあと一歩及ばず

作戦通りの戦いをしてくれた選手たちの頑張りが光る

 今年3度目の正直でライバルを下した日本航空の嶋内誠コーチは、「仕掛けようと思っていた第2クォーターで選手たちがうまく活躍してくれた。そういう意味でも作戦通りの戦いができたと思います。県総体、インターハイ予選と勝ちきれいない試合が続いたので、今日は先行して試合を進められたのがよかった」と激闘を振り返った。

 キャプテンの岩下は、「4点差に詰め寄られたときも焦ることなく、チーム一体となってプレーできたのはよかった。ディフェンス、リバウンド、ブレイクを軸にしてやってきたのでそこを突き詰めて質の高いプレーで全国でも戦えるようにしたい」と意気込みを語った。

 一方敗れた日川の古田厚司コーチは、「我慢して最後のワンチャンスにかけていた。最後4点差まで詰め寄ってからの攻防で、与えなくていい得点を取られてしまったところを見ると、少し気持ちが緩んでしまったのかな」とコメント。キャプテンとしてチームを引っ張った高原は「ディフェンスからブレイクというチームの良さを出しきれずミスが多くなってしまった。それでも、日川高校としてのプレーを一生懸命に出せたのでよかったと思います」と話してくれた。

 男女揃ってウインターカップに出場する日本航空。全国の舞台でどんな戦いをみせてくれるか、注目したい。

2年ぶりのウインターカップへ意欲を燃やす日本航空の選手たち

2年連続出場を逃すも終盤に粘りを見せた日川の選手たち

取材・文/松野友克

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