【日本航空高校女子サッカー部】 インターハイ出場を逃した悔しさバネにチームは成長 悲願の日本一へ最高の状態で挑む!

選手権を前にチームは最高の状態に!

 12月29日(日)に開幕する、第33回全日本高等学校女子サッカー選手権大会。前回大会までは、9地域の代表制で行われていたが、本大会から47都道府県の代表制(出場は52チーム)となり、例年以上に白熱した試合が予想されている。

 山梨県代表は、2年ぶり14回目の出場となる日本航空高校。インターハイ、選手権の常連チームだが、最高順位は3位で悲願の全国制覇にはあと一歩届いていない。また、2023年度は選手権への出場をかけた関東大会、今年度もインターハイをかけた関東大会で初戦敗退という悔しさを味わった。チームで攻撃の軸となる佐藤マリー奈々美(FW/3年)は、「今年のインターハイ予選では、全員がいつもと違い硬くなり、平常心を保てなかった」と振り返った。また、チームのエースストライカーとして君臨する伊藤咲良(FW/3年)も「私自身も緊張でいつも通りのプレーができなかった。それがなければ……」と語り、主将の小池彩華(DF/3年)も「一人ひとりが持っている強みを出すことができれば、結果は違っていたと思う」と話してくれた。

 しかし、この悔しさが選手の成長につながっていると、チームを率いる堀祥太朗監督は教えてくれた。
「インターハイを逃したあと、選手たちにもう一度、自分の強みは何かを考えさせたんです。人には必ずそれぞれの個性があります。チームでも個性を大切にしてますし、各生徒にも個性や特徴を大切にしてほしいと思っています。その個性や特徴こそが武器なんです。例えば、ボールが蹴れる選手は蹴れば良いですし、ドリブルが得意な選手はドリブルをすれば良いですし、声を出すこと、走ること、ヘディング、1対1の守備、ファーストタッチなどなど、なんでも良いのでまずはチーム内でNo1になりなさい。と伝えました。その武器を全選手はピッチ上で表現をして、それを1つにまとめるのが私の役割です。だから全選手が自分の強みは何かを明確化にして、夏合宿スタートのミーティングで、全選手が発表をしました。その名も【No1宣言】です。今夏は各選手が自身に矢印を向けて、No1宣言通りに徹底的に強みを作り上げ磨き上げ、課題に取り組んだ結果、全選手が自分の強み【武器】を掴み獲りましたね。課題こそ伸びしろですからね。仲間の強みを知ったことで、仲間の強みを出させるためのプレーを引き出し、チームとしても大きな成長を遂げましたね。」

主将の小池は「スローインナンバーワン」を宣言したという

 選手それぞれが、これなら誰にも負けないというものを明確に打ち出し、個の強化に努め大きく成長。また個の強化とともに、コミュニケーション力をアップさせることにも着手したという。「表現力を持っていても、なかなか表に出せない選手が多かった。チームを上げるためには、たくさんの仲間と話し合い、自分の意見をはっきり言えることが大事。これが自然にできるようになれば、個の視野も広がり、プレーにもいい影響がでるので」と堀監督は語る。

 この夏に取り組んだ2つの強化が実を結び、チーム力は格段にアップ。試合中も状況に応じてフォーメーションを変えて戦えるようになった。「個の強みを出すだけでなく、他の選手の強みも理解しているので、この場面ではこうしたほうがいいという、プレーを選択できるようになった。だから試合を見ていても面白い。だから、今度の選手権は本当に楽しみなんです」と堀監督は笑顔を見せた。

 それは選手たちも同じ。エースの伊藤は「個の力はもちろんですが、チーム力も高まっているのは実感できる。今が一番いい状態なので、今度の選手権では、その成果を出し切って、決勝の舞台に立ち、絶対に日本一になりたい」と力を込めた。また佐藤は「インターハイを逃してから、今度の選手権のために精いっぱい頑張ってきた。みんなの気合も高まっている。本番では全員で最後まで諦めずに戦っていい結果を残したい」と話してくれた。そして主将の小池は「最後の笛が鳴るまで、航空らしいアグレッシブなプレーを見せて、声を出し続けて戦いたい。そして、目標の日本一になれるように頑張りたい」と語った。

初戦の相手は、岐阜県代表で初出場の帝京大可児高校。過去の実績では上の立場だが、一発勝負のトーナメントでは油断は禁物だ。しかし日本航空の選手たちからは、気持ちの緩みは感じられない。なぜなら、敗れる悔しさを痛感しているからだ。心技体ともに充実した中で挑む選手権で、どんなプレーを見せてくれるか、期待は高まるばかりだ。

1年生からレギュラーとして活躍し続ける佐藤も、今大会にかける思いは強い

撮影・文/松野友克

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