1セットも落とさず王者健在を示した日本航空
6月18日、甲府市の緑が丘スポーツ公園体育館で、令和5年度全国高等学校総合体育大会バレーボール競技山梨県予選が行われた。男子17校、女子27校が出場し、トーナメント形式でインターハイ出場の切符を争った今大会。この日はベスト4が激突する準決勝、決勝を実施。男子は日本航空高校、日川高校、甲府工業高校、駿台甲府高校が、女子は帝京第三高校、韮崎高校、日本航空高校、東海大甲府高校(以下、高校略)が駒を進めていた。
男子準決勝1試合目は、日本航空と日川が対戦。日本航空は立ち上がりから高さとパワーを生かした攻撃を展開し相手を突き放す。一方の日川は、大きく突き放されまいと粘りのバレーで食らいつく。しかしキャプテンの山崎聖空(3年)、小松陽輝(3年)を中心に攻撃をたたみかけた日本航空高校が相手を突き放して1セットを先取。2セット目はこの勢いそのままに、相手を寄せ付けずに決勝進出を果たした。
準決勝2試合目は、甲府工業と駿台甲府の一戦。どちらも相譲らぬ展開となった第1セットは、ベンチ入りメンバーが7人と少数も抜群のコンビネーションを見せた駿台甲府が先取した。しかし駿台甲府は徐々にミスも目立ち勢いが衰えると、甲府工業に押されてしまい第2、第3セットを奪われて敗れた。
日川が駿台甲府を破り3位に決まった直後に行われた男子決勝。県総体と同じ顔合わせとなったが、ここでも日本航空が強さを見せる。準決勝同様に1セット序盤はやや苦しんだもののその後は、スパイク、ブロックと高さで相手を圧倒。第1セット25対18、第2セット25対16で勝利し、2年連続19回目のインターハイ出場を決めた。
激戦の女子は県総体覇者の帝京第三が意地を見せる
女子の準決勝1試合目は帝京第三と韮崎。第1セット序盤は帝京第三が得意のオープンバレーで高い攻撃力を見せ韮崎を引き離す展開となった。しかし中盤になるとサーブで相手のミスを誘い、流れをつかんだ韮崎が肉薄。先に帝京第三がセットカウントを奪うが、韮崎が最後の粘りをみせて、26対24と第1セットを逆転で奪った。第2セット序盤も韮崎ペースだったが、県総体覇者としての意地がある帝京第三は、攻撃の軸となっている丸山椎叶(1年)、水上千紗乃(2年)の2人が奮起。さらに、河野愛実花(3年)も後輩たちを助ける的確なスパイクなどで流れを引き寄せた。自分たちのスタイルが再び機能し始めた帝京第三は、相手の粘りを封じ込み、第2(25対18)、第3(25対21)セットを連取して決勝進出を決めた。
準決勝2試合目は、2年連続のインターハイを狙う日本航空が、2セッターを武器に多彩な攻撃を見せる東海大甲府をストレートで破った。なお、東海大甲府はこの悔しさをバネに3位決定戦を戦い、韮崎を下して3位となった。
昨年と同じ顔合わせとなった決勝。先に流れをつかんだのは帝京第三。丸山、水上、河野の3人が要所で良い働きをしてポイントを重ね第1セットを先取。しかし日本航空は第2セット、センター線を軸としたコンビバレーとブロックで相手のリズムを崩し勢いをつけ、25対17で奪ってみせた。迎えた第三セットどちらもフルセットの戦いを強いられた帝京第三は、疲れが心配されたがパワフルな攻撃力で相手を突き放すと、相手に反撃の糸口を与えず25対17で勝利し、2年ぶり3回目のインターハイ出場を決めた。
山梨代表としての誇りを胸にインターハイの舞台へ
日本航空を指揮した三溝克幸監督は、「課題が多い試合だったと思う。立ち上がりを含めて、どう試合に入っていくかを突き詰めていきたい」とコメント。キャプテンの山崎は「5月の県総体では、2セット目にバタバタしてしまい、自分たちのバレーができなかった。今日は2試合ともに自分たちのバレーができた」と試合を振り、「全国で勝つためにも、サーブやサーブレシーブをさらに強化したい」とインターハイへ向けて意気込みを語ってくれた。
一方、接戦を制して2年ぶりのインターハイ出場を決めた帝京第三の依田哲也監督は「2年生、1年生が主体となったので、3年生のためにもというプレッシャーを感じたのか、全体的に内容はよくなかった。それでも、最後修正してくれて、チーム一丸でプレーできたのは良かった」と話した。また、アウトサイドヒッターとしてチームを支えた水上、丸山の2人は、「山梨県代表として、他のチームの思いを背負って戦いたい」(水上)、「つらい場面もありましたが、最後決めきることがインターハイ出場を決められたのが本当によかった」とコメントした。
なお、今年のインターハイは北海道で開催。バレーボール競技は8月1日(火)に開会式を迎え、女子が8月2日(水)~5日(土)、男子が8月7日(月)~11日(金・祝)の日程で行われる。
取材・文/松野友克