ウインターカップ2019 山梨県予選レポート 男子・日本航空、女子・富士学苑が2年ぶりにV奪還で全国へ!

リバウンドを制したことで試合を優位に展開

 第72回全国高校バスケットボール選手権大会(通称・ウインターカップ)の山梨県予選決勝が10月27日に、富士吉田市にある富士北麓公園体育館で開催。男子は日本航空高校が2年ぶり6度目、女子は富士学苑高校が2年ぶり24度目の優勝を果たし、全国への切符を摑んだ。

 日本航空は、決勝で大会連覇を狙う第1シードの市川と対戦。2016年から4年連続での顔合わせであり、日本航空にとっては昨年のリベンジを果たす舞台ともなった。試合前半は、互角の争いとなったものの、第3クオーター終盤から日本航空が流れを摑む。身長193cmの神代秀輝(3年)がゴール下を支配しリバウンドを制して守りを固めれば、エースの岩田飛冴(3年)や、ゲームキャプテンの林佑麿(3年)などを中心に跳躍力やスピードを活かした攻撃を展開。速攻からのドライブインなどが効果手に決まり得点を重ねていった。このように攻守のバランスに優れたチーム力を発揮しながら、相手に反撃のきっかけを与えず75対58で勝利を収めた。

 試合開始から全身を使う大きなジェスチャーで、ベンチから選手を鼓舞していた小野凌監督は「小さいチームだが、それぞれが持っているセンスは良い。その良さを出し尽くそうと臨んだ試合だった」と話し、「終盤リードをしていても『最後まで気を抜かずに』と、指示を出し続けた。とにかく良く戦ってくれた。」と、選手達を讃えた。

 全国大会まで、あと2か月(取材時)。今後の練習についてキャプテンの古畑翔太(3年)は、「もっと走ります!」と開口一番、清々しく答える。「全国で戦うにはフィジカル面が、まだまだ弱い。そこを埋めるのは運動量を増やす事だと思っています。シュートの正確性をあげたり、走り込んだり、やるべき事が沢山ある」とし、「目標はベスト8です」と、強いまなざしと口調で、たくましく言い切ってくれた。 

「チームメイトが作ってくれる状況があって、自分が得点できる」と、周りの支えが生み出した結果だと強調する神代。 

「絶対的にリバウンドを取る。自分の持っている力を全て出し切る」が、今日の試合のチーム・スローガンだったと古畑

敵のリズムは把握していた

 女子の決勝は、2014年から6年連続で富士学苑と韮崎が激突。6月の高校総体でも同じ顔合わせで、そのときは韮崎が85対60で勝利し、インターハイ出場を決めた。昨年のウインターカップ県予選、今年の高校総体と主要大会で連敗中だった富士学苑は、「今年こそ絶対に勝つ」とチーム全員が強い意思を持って試合に望んだ。前半はなかなかペースがつかめず7点のリードを許して第3クオーターを迎えたが、キャプテンの瀧森梨里亜(3年)は、「第2クオーターが終わったあたりで『勝てるかも』という気持ちになっていた。それが確信に変わったのは第3クオーターでコートに立ったとき。チームが盛り上がって、皆が一体になっているのが分かった」と自信を持っていたという。そして、「相手の得意なプレーをさせない。得点源の選手にボールを持たせない。リバウンドは取り切る」と意思統一を図り、チームは反撃を開始。第3クオーター終了時点で1点のリードを奪い、続く第4クオーターも自分たちの流れを渡すことなく試合を進め、76対64で勝利を収めた。

 この試合21得点を挙げ、最大のライバルへのリベンジと、ウインターカップ出場を果たした瀧森は「油断せずに、これらを徹底したら良い流れに繋がっていった」と頬を紅潮させながら、試合を振り返った。

 渡邊康弘監督は「選手達が、自ら変わり、成長して掴んだ勝利です。夏のインターハイに比べると、各選手の気持ちやモチベーションが、ものすごく変わった。今回は指示の方が少なかった」と、選手達自身が良い流れに持っていった結果と強調した。

「”家族のような暖かいチーム”の雰囲気を作りながら、ウインターカップ出場という目標を掲げた」と瀧森

応援席からは「強気で!」と声援が飛ぶ。その声に答える様にシュートを重ねた渡辺。この試合では瀧森と同じく21得点と大活躍

 県高体連バスケットボールの渡辺文章専門委員長は、大会を振り返り、「監督がそれぞれ工夫して、各高校のスタイルが確立されてきている。決勝は、男女ともにどちらが勝ってもおかしくない実力高校同士だった。全国では1つでも多く駒を進めてきて欲しい」とコメント。

 両チームは、12月23日から東京都調布市の武蔵野の森総合スポーツプラザで開幕するウインターカップ2019に出場する。全国から猛者が集う大会でどのようなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

男子優勝の日本航空高校のメンバー

女子優勝の富士学苑高校のメンバー

写真:笠井剛司
文:佐藤わかな

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