勝利への執念が終盤での逆転劇を生む!
11月1日に行われたウインターカップ2020(第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会)の山梨県予選決勝。男女ともにこの舞台に立ったのが日本航空高校だ。男子は2年連続の出場をかけ、日川高校と激突した。第1ピリオドを終えて5点のリードを奪われた日本航空だったが、第2ピリオド以降はペースを握り終わってみれば99対82と17点差をつけて勝利をつかんだ。この裏には、「準決勝もそうでしたが、第1ピリオドと第2ピリオド間のインターバルで、チームの課題であるディフェンスとブレイクの強化を再確認しました。そこを試合で改善できたことが逆転につながったと思います」と、チームを指揮する小野凌監督は振り返った。
一方の女子は、新人戦優勝の韮崎高校と激突。準決勝で過去に24回ウインターカップ出場を果たしている富士学苑高校を破り勢いに乗った日本航空は、第1ピリオドを19対11と8点リードで終えた。しかし、第2、第3ピリオドでリードを奪われる。「正直、嫌な流れだなと思いましたが、キャプテンを中心に選手たちが絶対に逆転できるという気持ちを持ち続けたことが大きかったです」。このように蒲生壮扶監督が振り返ったように、最終ピリオドでも強いメンタルを続けて相手に立ち向かったことで流れをつかみ、見事に逆転。初のウインターカップ出場を成し遂げた。
大舞台へ向けて続けた努力が報われる
今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による休校などもあり、全体練習の機会が極端に減ってしまった。さらに、県総体やインターハイなどの主要大会が中止に。ウインターカップの開催決定も10月19日だったこともあり、選手のモチベーション維持はチームの課題となった。男子の小野監督は「入学したときから全国の舞台で活躍したいという選手ばかりなので、その気持を忘れないように声かけは続けました」と話す。女子の蒲生監督は「ここでバスケットがしたいという気持ちで入学した子ばかりなので、その気持は絶対に忘れないようにとは言い続けました」と語る。
男子のキャプテンを務める安保翼(3年)は、「インターハイ中止が決まったときは、正直、モチベーションは下がりました。それでも小野先生から前向きなアドバイスももらい、自分もキャプテンとして全員に声かけをするなど、コミュニケーションが取りやすい環境づくりに心がけました」と言う。女子のキャプテンを務める木村朱菜(3年)は、「自粛期間中も、ウインターカップ開催を信じてオンライントレーニングなどを続けました。個人個人が目標を失わずに努力を続けたことが今回の結果につながったと思います」と教えてくれた。
チーム力の高さを武器にベスト8入りを狙う
女子には今年から留学生が加わったこともあり、蒲生監督は「今年は節目になる。だからこそ結果を出す必要があった」と決意の年になったという。悲願の全国出場を成し遂げるため、男子に練習試合を懇願。これを聞いた小野監督も「今年にかける気持ちがヒシヒシと伝わってきました」と語り、何度も練習試合の機会を設けた。この経験は女子チームの成長につながり、「男子との練習試合でこれまで見えなかった課題が見えたのは本当によかったです」と木村は感謝の言葉を述べた。
ウインターカップの開幕は12月23日。組み合わせは11月26日に決定するため、初戦の相手は決まっていないが、大舞台への準備は着実に進んでいる。「男子は、昨年の結果を超え、ベスト8に入りメインコートで試合をすること。そのためにも、まだ課題として残るディフェンスとブレイクの部分をさらに強化していきたいと思います」と小野監督。キャプテンの安保も「チーム力の高さが自分たちの魅力。全国大会までに課題を克服し、チームの良さを磨いていきたい」と意気込む。
一方の女子は「ウインターカップまでに、一つひとつのプレーの精度を上げられるようにしっかりと準備をしていきたい。初出場で失うものは何もないので、選手たちには思いっきりプレーしてほしい」と蒲生監督が語れば、「3年生にとっては集大成の舞台。初の全国だからといって内気にならずに堂々と強気で戦いたいです」と木村は強く誓った。
アベック出場となる全国大会で選手たちがどんな戦いを見せてくれるか。今から期待は高まるばかりだ。
文/松野友克
画像提供/日本航空高校