日本航空高校女子サッカー部 チーム力の高さを武器に全員が一丸となって悲願の全国制覇を狙う

守備強化の目標をクリアし、関東大会連覇を達成!

「昨年よりもいいチームに仕上がっていると思う」

 チームを率いる堀祥太朗監督は、現チームの状態をこう評価する。5月の県総体で16連覇を達し、6月の関東大会でも2大会連続優勝。3年連続6回目のインターハイ出場を決めた。関東大会では、宇都宮文星女子高校(栃木)との1回戦を2対0で勝利すると、準決勝では前橋育英高校(群馬)を1対0で下した。迎えた星槎国際湘南高校(神奈川)との決勝は、日本航空がシュート17本を放つもゴールならず。一方の星磋国際湘南はシュート0で両チーム無得点。PK戦に突入する苦しい展開となったが、6-5で制してみせた。守備からいい攻撃につなげることを目指して練習に励んできた成果が出た形だった。
 これについて堀監督は「県総体や春季関東大会、インターハイは35分ハーフのゲーム。そういう点もあって、守備から固めるという意識付けをしてきました」と教えてくれた。キャプテンの城山にこも、「関東大会は3試合無失点で終われたことが一番。カウンターで得点することもでき、相手の逆転をつきながら試合が組み立てられた」と手応えをつかんでいた。

選手個々の能力をどのように活かすかが今のテーマとも語る堀監督(左)

個人差がないチームだからこそ一体感がとても重要

 昨年は、現在WEリーグ・大宮アルディージャVENTUSに所属している大島暖菜という絶対的な柱が存在していた。現チームにはU16日本女子代表候補にも選ばれた佐藤マリー奈々美がいるが、まだ荒削りな部分も多く成長途上だ。しかしエース格の選手がいないことをプラス材料として捉え、チーム全体の底上げにつながっていると堀監督は話す。

「軸になる選手がいないぶん、全員が一生懸命やるべきことをやるという意識を持つようになった。だからこそ、さらなる可能性を感じるいいチームだと思っています。今の課題は、試合終盤を含めたつらい場面で誰一人かけることなく動けるようにすること。一人でも気を抜いたら、このチームは成り立たたなくなるので」

 その中でも、キャプテンの城山、ゲームキャプテンの五味小暖、ケガから復帰し存在感を示したい旗崎はるかの3年生3人にかかる期待は大きい。3年生になりより自覚が増したという五味は、「今のチームは個人差がない。だから誰が試合に出ても航空らしいサッカーができるという強みがある。そこを生かしてインターハイでも優勝を目指したい」と意気込みを語った。一方、旗崎は「ポジション争いが熾烈なのでそれに勝って、インターハイでも良い結果を出したい」とコメントした。そして城山は、「冬の選手権にいい流れをつくるためにも、全員で力を合わせてインターハイを優勝したい」と前を向いた。

 7月26日にインターハイ初戦を迎える日本航空女子サッカー部。初戦の相手は東北総体決勝を5対0と圧勝し、4年ぶりのインターハイ出場を決めた聖和学園(宮城)だ。高い得点力を誇るチームなだけに、磨き上げた守備力が問われる戦いとなる。「短期決戦なので初戦をいい形で勝利できれば勢いに乗れる。今回はチャンスだと思っているのでものにしたい」と堀監督。

 ピッチに立つメンバーはもちろん、ベンチ、スタンドで応援する部員(全国最多92人)全員が一丸となって、悲願の全国制覇という目標へ突き進んでいく。

U16日本女子代表候補となった佐藤(ピンクのビブス)のほか、個の能力差がない選手が揃っている

(左から)旗崎はるか、五味小暖、城山にこ。最上級生の3人がチームを全国制覇に導けるか

取材・文/松野友克

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