女子は、高さを武器にバリエーションある攻撃で相手を圧倒
11月6日、甲府市の小瀬スポーツ公園体育館で、第75回全日本バレーボール高等学校選手権大会(通称:春高バレー)の山梨県予選決勝が行われた。15チームが参加した男子は、今年1月の春高バレーで悲願の日本一に輝いた日本航空高校と、県総体、インターハイ予選で準優勝となっている日川高校が激突。一方、26チームで争われた女子は、県総体、インターハイ予選に続き、今季県3冠を目指す日本航空高校と、3年連続4度目の出場を狙う帝京第三高校(以下、敬称略)の対戦となった。
先に行われた女子決勝、第1セットで主導権を握ったのはスターティングメンバーの平均身長で相手を約11cmも上回る日本航空。エースで主将の渡辺真弥(3年)、精度の高いスパイクが持ち味の小嶋桃香(3年)の両アウトサイドヒッターに、高いジャンプ力を武器にパワフルなスパイクを放つ岡山ゆら(2年)を中心に多彩なコンビバレーを展開して5連続得点などで点差を広げていく。一方の帝京第三は、創部から続く2セッターを進化させた3セッター体制で、オープン攻撃を軸に反撃を試みるがペースをなかなか引き戻せず。第1セットは、25対12と大差で日本航空がものにした。
続く第2セットも開始直後は日本航空ペースで進み7対3となり、このまま点差が開くかに思われた。しかし帝京第三は、自慢のつなぐバレーで点差を縮め7対7の同点に。さらに、1年生・水上千紗乃のコースをつく巧みなスパイクも5連続得点で、この日初めてリードを奪った。その後も帝京第三は、アキレス腱断裂の大ケガを乗り越えた絶対的エース・岡庭舞衣(3年)を中心に攻撃を展開。一方の日本航空も引き離されまいと、高さを生かした攻撃とブロックで悪い流れを断ち切り、シーソーゲームの展開に。そして15対15の場面で帝京第三にスパイクミス。その直後に日本航空がブロックポイントで点差を2に広げた。このまま引き離したい日本航空だったが、帝京第三の粘りでなかなか引き離すことができず。22対21と詰め寄られた場面では、小嶋のスパイクを水上がブロックして同点となった。日本航空には嫌な流れとなったが、相手に再びリードを許すことなく25対23で勝利。激戦の第2セットを奪った日本航空は、第3セットでも高さで相手を圧倒。粘りのバレーで食らいつく帝京第三に付け入る隙を与えず25対16で奪い、4年ぶり8回目の春高バレー出場を決めた。
男子は粘る相手を振り切り全国連覇への挑戦権をつかむ
県予選20連覇中の日本航空と、21年ぶりの春高バレー出場を狙う日川が対した男子決勝。第1セット立ち上がりは、高さを武器に多彩な攻撃を仕掛ける日本航空がペースを握り5対2とした。一方の日川は、キャプテンでエースの古屋太夢(3年)、スタメン唯一の2年生・岸本奏音の2人を軸にした攻撃でリズムをつくり5対5に追いつき粘りを見せた。このままシーソーゲームになるかと思われたが、日本航空は小松陽輝、山崎聖空の両2年生アウトサイドヒッターのスパイクなどで流れを引き戻し、第1セットを25対16で奪った。
続く第2セット。4対4と競ったゲームが続くなかで、日川の岸本が相手のブロックアウトを狙う見事なスパイクを3連続で決めてチームに流れを持ってくる。その後も高い守備力で粘りのバレーを見せた日川が、僅差のリードを保ちながら試合が進んでいく。追いかける展開が続く日本航空は、第1セットから勢いに乗る山崎のスパイクで19対19に追いつくと、直後にも山崎の1ブロックが決まり20対19とリードを奪った。その後日川がリードし、先にセットポイントに。しかし地力に勝る日本航空はすぐに追いつき、逆にセットポイントを奪うと最後はミドルブロッカー・木内蒼の速攻が決まって27対25で激戦を制した。
第3セットは日本航空がU18日本代表・渡邉健(3年)の速攻などでリズムをつかみ6対3とリード。苦しい展開となった日川だが、岸本のバックアタック、スピードを生かした攻撃などで4連続ポイントを奪って7対6と主導権を引き寄せた。しかし日本航空はここですぐに流れを食い止め4連続ポイントで再びリードを奪う。その後日本航空は今年1月の春高バレーで最優秀リベロ賞に輝いたキャプテンの伊東昌輝(3年)が好レシーブを連発。攻撃にもリズムが生まれて粘る日川を引き離すと、最後は25対21で勝利を収めて春高バレー県予選21連覇を達成した。
今年は男女揃って日本航空旋風を巻き起こせるか
4年ぶりに男女揃って春高バレー出場を決めた日本航空高校。今年から女子チームを率いている銭谷祐平監督は「インターハイ後に、高さを生かした攻撃とブロックを生かすためには、レシーブ力を上げていかなければいけないという話をしてきた。今日の試合でもその努力の成果が見られたので結果につながったと思います」とコメント。また「全国大会までには、サーブレシーブをより安定させ、コンビネーションのミスを少なくできるような練習をしていければと思います」と話してくれた。
今大会のMVPに輝いたキャプテンの渡辺は「(第2セットリードされた場面でも)ミスをしたら全員でカバーして次の1点に向かってやっていこうという話をしていたので、その気持ち出たのがよかったと思います」と振り返り、全国へ向けても「コートにいる6人はもちろん、24人の部員全員で同じ方向を向いて戦っていきたい」と意気込みを語った。
一方、全国連覇へ最初の関門を突破した男子の月岡裕二監督は「バタバタした(ゲームになる)ことは想定内。試合は何があるかわからないので、下級生たちにとってもいい経験になったと思います。圧倒的に勝つよりもすごくよかったんじゃないかと」と試合を振り返った。そして全国へ向けては「全国クラスの高さを持っているので、選手たちには高校生らしくもっと元気にプレーしてもらい、自分たちの良さを爆発させてもらいたい。それが今年のチームの特徴なので」と語ってくれた
キャプテンとしてチームを引っ張り、MVPにも選ばれた伊東は「結果としては勝てましたが、内容的には納得がいくものではなかった。これから約2ヵ月間、課題を克服していかなければいけない」とコメント。また、本大会の1週間前に男女のバスケットボール部が全国出場を決めていたことにも触れ、「男女バスケ部が優勝したこともあり、バレーボール部もという話をしていたので、それが達成できて良かった」とも話してくれた。
なお、75回目を迎える春高バレーは、2023年1月4日(水)に開幕。組み合わせ抽選会は12月4日(日)に行われる予定だ。
取材・文/松野友克