桔梗屋カップ 春の高校バレー山梨県代表決定戦レポート 日本航空高・男子が18連覇達成! 女子は増穂商高が昨年のリベンジを果たす

現チームとなり初めて1セットを失うも意地を見せる

 2020年1月5日に東京で開幕する第72回全日本高校バレーボール選手権(通称・春の高校バレー)。バレーボールを頑張る高校生にとって目標となる大会の一つで、3年生にとっては高校生活最後の全国大会となる。そんな歴史ある大会の山梨県予選決勝が、10月27日に小瀬スポーツ公園体育館で行われた。

 男子の決勝は、3年連続で日本航空高校と甲府工業高校が激突。試合前の予測で現チームになって1セットも落としたことがない日本航空がペースを握るかに思われたが、第1セットは49年ぶり2度目の春高出場を狙う甲府工が意地を見せる。固い守りで相手の攻撃をしのぎ、自らの攻めにつなげる粘りのバレーを徐々にペースを握り、リードを保ったまま試合を進めていく。攻撃陣ではエースの深沢航太郎(3年)、矢沢泰也(3年)の両サイドアタッカーが持ち味のスピードを活かしたスパイクを効果的に決め、相手にペースを譲らず、終わってみれば、25対23で第1セットを奪ってみせた。

第1セット奪取の立役者の一人となった甲府工の矢沢

 続く第2セットは、互いに点の取り合いとなるが、序盤から中盤は第1セットで勢いに乗った甲府工がペースを握った。しかし終盤になると県内で190連勝中の絶対王者・日本航空がついに目覚める。主将でエースの上村琉乃介(3年)が最高到達点3m35の圧倒的な高さを活かしたスパイクでペースを引き寄せていく。日本航空は、エースの頑張りで終盤21対20とリードを奪うと、そのまま流れを譲ることなく第2セットを奪取。

 第2セットを奪い落ち着きを取り戻した日本航空は、第3セット、第4セットともに、エース・上村を中心に、互いに180cm以上の長身を活かしたスパイクやブロックが魅力のエドック ポ・ケナン、石原翔(ともに3年)のミドルブロッカーコンビらを加えたコンビバレーで甲府工を圧倒。第3セットを25対17、第4セットを25対14で奪い、セットカウント3対1で勝利し18年連続18回目の春高出場を決めた。今大会の最優秀選手にも輝いた上村は「自分のプレーで仲間に示したかった」と、エースそして主将としての役割を果たせたことに安堵していた。

チームの得点源として圧倒的な存在感を放った上村(日本航空)

攻守に渡りリズムを摑んだ増穂商がストレート勝ち!

 一方の女子決勝は、増穂商業高校対日本航空高校と、6月のインターハイ予選と同じ顔合わせとなった。過去30回の春高出場を誇る増穂商は、前年の県予選準決勝で日本航空に敗れ、大会4連覇を逃した増穂商。2020年度は、学校の統合により校名が変更となるため、現在の校名で挑む最後の大会でもあった。対する日本航空は、元全日本女子代表を率いた葛和伸元監督の元、男女アベック出場を狙った。
 
 試合は、有終の美を飾りたい増穂商が第1セットから攻撃のリズムを摑む。主将・小澤茉奈(3年)と身長176cmのガレリアノ・フェルナンダ(2年)を中心に攻撃を組み立て、リベロの一瀬りさ(3年)が鉄壁の守りで攻撃陣を支えてリードを広げていく。対する日本航空は、178cmの長身ミドルブロッカー・清水愛(2年)を軸とした攻撃を組み立てるも、要所でミスが出て反撃の糸口をつかめず。第1セットは25対19で増穂商がものにした。

大会連覇を狙った日本航空の攻撃の柱として活躍した清水(写真中央)だが、流れは呼び込めず

 第2セット、第3セットも増穂商がリズムのいい攻撃で流れを相手に渡すことなく連取。インターハイ予選は大接戦の末の勝利だったが、今回はセットカウント3対0のストレートで勝利し、2年ぶり31回目の春高出場を決めた。

 試合後、チームを率いた辻智之監督は「3年生がしっかりと働いてくれたことが一番の勝因」と褒めた。主将の小澤は「去年悔しい思いをして、春高を目指してチーム一丸となって頑張ってきたので、ストレートで勝ててよかったと思います」と笑顔を見せた。

 一方で敗れた本航空の葛和監督は「打てる選手がいないので、サーブレシーブをしっかりしなければいけなかったが、できなかった」と肩を落とした。

強いキャプテンシーでチームを引っ張り、得点源としても活躍した小澤(増穂商)

 春高バレーの組み合わせは12月1日に行われ、日本航空は大村工業高校(長崎)対市立尼崎高校(兵庫)の勝者と、増穂商が富山第一高校(富山)と対戦することが決まった。今年の高校バレー界は男女ともに群雄割拠の状態であることから、両校にも上位進出の可能性は十分にあるだろう。

18年連続出場を決めた日本航空のメンバー

増穂商のメンバーは2年ぶりの春高で上位進出を狙う

取材・文/松野友克

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