女子は、エース投入で流れをつかんだ日本航空が逆転勝利!
6月26日、甲府市の小瀬スポーツ公園体育館で、令和4年度全国高等学校体育大会バスケットボール競技山梨県大会決勝が行われた。4日間にわたり行われた今大会には、男子32校、女子27校が参加。男女それぞれ、インターハイ出場への切符をかけ、トーナメント形式で争われた。決勝に進出したのは、女子が日本航空高校と富士学苑高校、男子が日川高校と日本航空高校と、5月の県総体の優勝、準優勝のチームが初戦から危なげない試合運びで勝ち抜いてきた。
最初に行われたのは女子決勝。日本航空は、187㎝のルース・ギフト・エゼキエル(センター)がベンチスタート。キャプテンの和知萌々華以外は、2年、1年生がスタメンに名を連ねた。一方の富士学苑は3年生3人に、1年生2人が加わる布陣で第1ピリオドがスタート。出だしは、両チームともに動きに硬さが見られたが、5年ぶり18回目のインターハイを狙う富士学苑が徐々にペースを握り始め、リードを広げていく。点差を縮めておきたい日本航空だったが細かいミスも目立ち、なかなか流れを引き戻せず。第1ピリオドは17対9と富士学苑が8点差をつけて終えた。続く第2ピリオドは巧みなパスワークや速攻が決まり出した日本航空がペースを握り、33対30と3点差まで詰め寄った。
このまま日本航空ペースで進むかと思われた第3ピリオドだったが、富士学苑が堅いディフェンスで相手の攻撃を封印。攻撃面では速攻や3ポイントシュートなどが決まり主導権を奪い返すと、42対37と点差を9に広げた。苦しい試合展開となった日本航空は、第4ピリオドからルース・ギフト・エゼキエルを投入。ピリオド開始直後にエースが高さとパワーを生かしたプレーで得点を奪うと、流れは一気に日本航空へ。ルース・ギフト・エゼキエルがリバウンドをはじめゴール下で強さを見せると、味方もそれに乗せられるように好プレーを連発。残り4分になったところで、50対50と同点に追いついた。その後も圧倒的な攻撃力で相手を突き放した日本航空は、61対54と7点差をつけて初のインターハイ出場の切符をつかんだ。
相手の追撃を伝統のバスケでしのいだ日川が栄冠
男子決勝は、5月の県総体で73対72とわずか1点差の好ゲームを繰り広げた両チームの激突ということもあり、緊迫した攻防が予測された。しかし、第1ピリオド開始から日川が勢いに乗る。キャプテンでフォワードの高原未来也、ガードの前島幸大を中心に “ディフェンスからブレイク”という伝統のスタイルを武器に得点を重ねて、第1ピリオドを33対19と14点差をつけて終えた。続く第2ピリオドでは、日本航空の攻撃にもリズムが生まれ、このピリオドを19対18で奪ったが、点差は13と日川のリードは変わらず。
なんとか点差をつめたい日本航空は、第3ピリオドでじわりじわりと相手を攻め込み、ファウルなどを引き出しながら得点を奪っていく。流れを失いたくない日川だったが、疲れもあってなかなか速攻が決まらない時間帯も増えてきた。そして第3ピリオド終盤には日本航空が連続ポイントを奪うなど追い上げを見せて、このピリオドを20対13で奪い、合計64対58と6点差まで詰め寄った。
迎えた最終第4ピリオド。互いの意地がぶつかり合う激しい攻防が繰り広げられる。序盤は日川の速攻が決まり流れを引き戻し、残り5分半の時点で15点差をつけた。しかし、日本航空も最後の粘りを見せて、相手のスティールからの速攻などで得点を奪い返し、残り約3分の段階で7点差まで追い上げる。その後は一進一退の攻防が続き日本航空が3点差まで詰め寄る場面があったが、最終は、相手の追撃を振り切った日川が84対79で勝利し、12年ぶり17回目の優勝を果たして全国への切符を手にした。
全国の強豪が集うインターハイへ向けて意欲を燃やす
インターハイ初出場を決めた女子の日本航空・蒲生壮扶監督に話を聞くと「選手たちが辛抱強くプレーしてくれた」と振り返り、第4ピリオドからルース・ギフト・エゼキエルを投入したことについては、「うちのチームはルースだけのチームではないので、全員が練習してきたことを出して結果を残したかった」と意図を教えてくれた。さらに「オフェンス、ディフェンスでの球際の部分。最後のショットのところでファウルになるケースも多かったので、そこを粘り切る力をつけていきたい。あとはディフェンスの強化」と、インターハイへ向けての取り組みを語った。キャプテンの和知は「序盤に点数が開く場面もありましたが、自分たちのスピードを生かしたプレーを貫いて勝つことができたので良かったです」とコメント。逆転劇を呼び込んだルースは、「チームのために、自分ができることをもう一度考えて、もっと練習をしてインターハイに挑みたいです」と意気込みを語ってくれた。
一方、昨年決勝で敗れた雪辱を晴らして12年ぶりのインターハイへと駒を進める日川を率いる古田厚司監督は「試合の前には、『今できる最高のバスケットをしよう』と送り出しました。第1ピリオドはいい形でゲームしてくれたと思いますが、リードしたことで選手たちがホッとしたのか、落ち着いた感じが出てしまった。その気持の緩みが第2ピリオド以降に影響して詰め寄られる形になってしまったと思います。そんな中でもキャプテンの高原がうまくチームをまとめて鼓舞してくれました」とコメントしてくれた。最後まで必死のプレーを続けた高原は「苦しい時間もありましたが、チーム一丸となって最後まで戦い抜くことができました」と試合を振り返り、「インターハイでは1つでも多くかって全員で楽しんで、一生懸命頑張りたいです」と意気込んだ。
なお、令和4年度のインターハイは四国4県で開催され、バスケットボール競技は7月28日(火)から8月1日(月)まで、香川県高松市他で行われる。
取材・文/松野友克