日本航空高校男子バレーボール部 19年連続出場となる今回の春高で悲願の全国制覇を目指す!

自分たちのバレーを貫き完全Vで全国へ!

 山梨の高校バレーボール界をけん引し続ける日本航空高校が、19年連続19度目となる全日本バレーボール高等学校選手権大会(通称・春高バレー)への出場を決めた。10月に行われた県予選では、初戦から相手に1セットを奪われることなく勝ち上がり、決勝でも19年ぶりの春高バレー出場を狙った日川高校を危なげない試合運びで圧倒した。

 部を率いて23年目となる月岡裕二監督は「“こちらから相手に献上する点数を少なくする”をテーマにやってきた。そのことが県予選ではできたと思う」と振り返る。1年生からレギュラーとして活躍し3年になった今キャプテンとしてチームをけん引し、県予選では最優秀選手にも選ばれた佐藤悠真は「1本目をサーブレシーブやスパイクのディグなど、県予選に向けて練習してきたことが、自分たちなりにできたことが優勝につながった」と胸を張った。その一方で佐藤は「今のままでは全国では通用しないと思うので、これまでやってきたことの質を高めなければいけない」と気を引き締めた。

春高本番へ向けて、懸命な練習に励む日本航空の部員たち

バレーボールを通じて人間形成を行う

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、約3ヵ月全体練習がストップ。その間、選手たちは個々にトレーニングを積んだが、チーム作りは大きく遅れてしまった。「全体練習ができなかったことも大きいですが、ユニフォームを着て戦う経験値を積み上げられなかったことが一番残念。バレーボールというスポーツは、瞬時の状況判断がものをいうスポーツ。練習試合でもそれは養えるかもしれませんが、ユニフォームと着た公式戦で得る経験値は遥かに大きい。私の考えですが、公式戦で得られる経験値は、練習ゲームの100セット分に匹敵するといってもいい。それが関東や全国の大会ならもっと大きなものになるので、経験させたかったですが、どこの高校も同じですから仕方ありません」

 毎年、選手の特徴をつかんだチーム作りをしている月岡監督が、就任から一貫して教えていることがある。それは“バレーボールを一にする”こと。体育館の壁にも張り出されている部のモットーだが、この言葉の意味を聞くと、次のようなに教えてくれた。
 
「これは、“バレーボールを第一優先にする”ではなく、“日常生活の一つとしてバレーボールを捉える”という意味なんです。ここに集まっているのは、日本航空でバレーボールがしたいという思いの選手ばかり。でも、日頃の学校生活をおろそかにすれば、バレーボールの練習どころではなくなる。そうならないためにも、バレーボールを通じて、人間形成を行い、一歩ずつ大人になっていかなければいけない。それができれば、一人の人間として成長すると同時に、バレーボールの奥深さもわかってくると思う」

 月岡監督の信念は、選手たちにも十分に伝わっている。ウイングスパイカーの川端下大(3年)は、「この学校に入って一番成長できたのは人間性。自分のことだけでなく、相手のことを考えられるようになり、それがプレーにもつながっていると思います」と話してくれた。

「選手にはいいものはいい、悪いものは悪いとはっきり伝える」と話す月岡監督(右)

過去のリベンジを果たし日本一へ突き進め!

 2021年1月5日に開幕する春高バレーの初戦で対するのは、5年連続8度目の出場となる高川学園高校(山口県代表)。過去に2度ベスト4入りを果たしている強豪で、2017年に行われた大会でも戦った相手だ。そのときは、セットカウント1対2で敗れており、約4年前のリベンジの舞台ともなる。それについて月岡監督は、「中高一貫でやっているチームなので経験値は豊富ですが、つけ入る隙はある。だから、ゲームの主導権をどれだけ握れるかがカギ。あとは、どれだけ選手たちが開き直ってぶつかっていけるかですね」と分析する。

 キャプテンの佐藤は「雰囲気のいいチームなので、相手のムードにのまれることなく、自分が積極的に声を出してやっていくようにしたい」と話す。川端下は「全員で勝ちにいくという自分たちの良さを出したい」と意気込む。

 佐藤、川端下に春高バレーでの目標を聞くと、揃って「全国制覇!」と力を込めて発言してくれた。春高バレーで日本航空の最高位はベスト8。この壁を打ち破ってセンターコートに立ち、悲願達成を成し遂げる姿を見せられるか。今から期待が高まる。

エース対角の川端下は「全国でもしっかりとスパイクを決めたい」とコメント




写真・文/松野友克

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